民間相続サービスって便利? 士業との違いをやさしく解説
- らくだ行政書士おふぃす

- 8月6日
- 読了時間: 7分
相続手続きは人生の中でも複雑で負担が大きいものです。近年、民間の相続サービスが増え、手続きの代行やサポートを謳う業者も多く見られます。
しかし、実際には相続手続きの代行は国家資格を持つ士業にしか認められていません。この記事では、民間相続サービスの仕組みと、士業の独占業務の違いをわかりやすく解説します。
これから相続手続きを考えている方にとって、サービス選びの参考になる内容です。

士業の独占業務とは何か
相続手続きに関わる代表的な士業には、行政書士、司法書士、弁護士、税理士などがあります。これらの士業は厳正な試験や実務経験による国家資格を持ち、法律知識や高い倫理観が求められるため、特定の業務が独占されています。たとえば、
行政書士は遺言書・遺産分割協議書の作成や、戸籍収集による相続人確定・財産目録の作成などを担当できる
司法書士は不動産の名義変更に関する登記申請の代行ができる
弁護士は紛争状態にある相続の代理・解決を担当できる
税理士は相続税の申告や税務相談を担当できる
このように、相続手続きについては、法律知識の正確さと高い倫理的判断が必要なため、無資格者が代行することは認められていません。
言い方を変えると、無資格者が代行することで、無秩序に相続手続きが行われ、国民の権利行使と自由かつ公正な社会の形成に支障があると考えられているからです。
民間相続サービスの仕組みと特徴
一方で、民間の相続サービスは「手続きの代行」ではなく、あくまで手続きを自分で行うためのシステムやツールを提供しています。
たとえば「そうぞくドットコム」のようなサービスは、
書類作成のためのテンプレートやチェックリストを提供
手続きの流れをわかりやすく案内
必要書類の収集や提出方法をサポート
といった形で利用者が自分で手続きを進められるよう支援します。代行ではないため、法律的な代理行為はできません。例えば書類の不備や補正が必要な場合には、依頼者本人が行う必要があります。
また、入力内容を間違えてしまった場合に、専門家による個別具体的なチェックがある訳ではないため、最悪、その誤った内容で遺産分割協議書が作成されたり、不動産登記が行われてしまう可能性もあります。その場合の責任は入力者本人が負うことになります。
さらに、作成される遺産分割協議書等の書類作成は画一的であり、システムのルールに沿って依頼者側が対応する必要があるため、きめ細かいニーズには応えられない可能性があります。
この仕組みは、元々自分で手続きを行う意志がある人にとっては負担軽減につながります。しかし、専門家の代行と比べると、法律的なアドバイスやトラブル対応は期待できません。
なお、東京司法書士会から「民間事業者の登記申請書等の自動生成サービス等について」の会長声明が発出されているとおり、今後、サービスが行き過ぎて法令に抵触する可能性もあります。以下、抜粋です。
民間事業者や無資格者が、登記申請書類の作成や書類作成の相談に応じることは、司法書士法に抵触する違法な行為であり、司法書士法第78条により、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる行為です。
当会としては、このような民間事業者の活動について、監視を継続し、また、民間事業者や無資格者による登記申請書類の作成や書類作成の相談が疑われる事案については、所要の調査を実施して、厳正に対処して参ります。
民間相続サービスの料金とコスト構造
民間相続サービスの料金は意外と高額になることがあります。これは、
多額の広告宣伝費
サポートスタッフの人件費
システム開発や運営コスト
を回収するために、薄利多売のビジネスモデルを採用しているからです。たとえば、数万円から十数万円の利用料がかかるケースも珍しくありません。
実際、「そうぞくドットコム」では、最安15,000円(税込16,500円)としていますが、システムを利用した申請書類等の自動生成(自分で判断して入力)のみであり、通常、一番多いケースとなる不動産と預貯金のセットでは、通常価格165,000円(税込181,500円)→特別価格135,000円(税込148,500円)と決して安価ではありません。
利用者は「自分で手続きを行う負担を減らしたい」と考えてサービスを選びますが、システムに入力するための内容をご自分で用意し、判断する必要があります。
入力内容をご自分で用意し、判断できるようであれば、もう少しの作業負担で、経済的負担は僅かな手数料と税金のみとなります。
実際、近年では「戸籍の広域交付」や「法定相続情報証明制度」など、全般的にご自分で手続きが行える環境が整ってきています。
料金と提供内容のバランスをよく確認する必要があります。
なお、戸籍の広域交付や法定相続情報証明制度、相続手続きを自分で行うについては、以下の記事を参考にしてください。
士業に依頼するメリットとデメリット
士業に相続手続きを依頼すると、法律的な専門知識に基づく正確な対応が期待できます。具体的には次のようなケースが考えられます。
個別具体的な相談に専門的な法律知識と高い倫理観で対応できる。
代理人となるため、書類の不備や補正があったとしても、責任をもって対応が可能であり、完結できる。
法務局や市役所等の折衝も任せられる。
遺産分割協議書の作成にあたっても、画一的でなく、それぞれの相続人の細かいニーズに対応できる。
法令により守秘義務が課されているため、個人情報は保護される。
相続トラブルの予防や解決が可能となる。
ただし、士業への依頼は料金が高くなる傾向があります。司法書士や税理士の報酬は数十万円から百万円以上になることもあります。費用対効果を考え、手続きの難易度や自分の知識・時間に応じて選択することが大切です。
どのようにサービスを選ぶべきか
相続手続きの負担を減らしたい場合、以下のポイントを参考にサービスを選びましょう。
業務対象
自分で行う:単純な名義変更だけで、時間や労力にゆとりがある方
民間サービス:単純な名義変更だけで、時間や労力にゆとりがなく、経済的負担を厭わない方
各士業:上記以外全て
相続関係の知識
自分で行う:相続に関する法令、手続き方法等を自分で調べて進めることができる方
民間サービス:相続に関する一般的な内容のアドバイスで進めることができる方(個別具体の相談は法令違反)
各士業:相続に関する法令、手続き方法に不安のある方、個別具体の相談をしたい方
書類作成の責任
自分で行う:ご自分、書類の不備や補正もご自分で行える方
民間サービス:代理人となれないため、入力者ご自分となるため、書類の不備や補正もご自分で行える方
各士業:代理人となる各士業の責任において作成できるため、書類の不備や補正も任せたい方
料金とサービス内容
自分で行う:経済的負担は最も少ない
民間サービス:サービス内容は画一的だが、 それなりの経済的負担が必要
各士業:個別具体の事案に対応できるが、料金は一般的に高額で幅が広い
らくだ行政書士おふぃすではハイブリッドなプランを提案
民間相続サービスは自分で手続きを行う人の負担を軽減するための便利なツールやシステムを提供していますが、手続きの代行は国家資格を持つ士業だけが認められています。
このような意味で、民間相続サービスは自分で相続手続きを行う場合の延長線上にあると考えられます。
サービスを選ぶ際は、手続きの難易度や自分の状況を考慮し、料金やサポート内容をよく比較しましょう。相続は人生の大きな節目であり、正確で安心できる対応が求められます。必要に応じて専門家の力を借りることも検討してください。
らくだ行政書士おふぃすでは、相続に関する個別具体的な相談に応じながら、遺産分割協議書等の作成については、国家資格である行政書士が担う一方、戸籍の広域交付を活用して、戸籍の収集は相続人本人で行って頂く等、それぞれの良いとこ取りをしたハイブリッドなプランである「らくだセルフプラン」もご用意しています。
専門家による安心感と確実性を保ちつつ、民間相続サービスにも劣らない高いコストパフォーマンスを実現しています。




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